第1章:終わらない国へようこそ

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あたしに顔を近づけ男は、ジロジロと見る。 すると、いきなりニカッと笑った。 「何をお求めでしょう?」 何?急に態度が変わった…。 そのいきなりの態度の急変に、あたしは恐怖さえ感じた。 「何をお求めでしょう?」 男はさらに言い続ける。 あたしは後ずさりしながら、店内を見回した。 「あ…あれ…」 「あれ?」 「あれ!ください」 あたしは目の止まった、クッキーを指差した。 男はクッキーの入った袋を手にとると、聞いてきた。 「これで、ございますか?」 あたしはこくこくと頷くことしかできない。 すると、男は手を前に出してきた。 え?何?お金をよこせってこと? あたしは急いで財布を取り出し、お金を渡した。 すると、お金と引き換えにクッキーを渡してきた。 「まいどありぃ。またよろしくお願いします」 男のその声を後ろに聞きながら、急いで店を出た。 あたしは怖く感じ、逃げるように走った。 しばらく走るといつの間にか街から外に出ていた。 あたしは膝に手をつき、肩で息をしていた。 「あ~、怖かったぁ」 結局、何も聞けなかったなぁ。 もう、元の世界に戻った方がいいかな。 でも、戻ったところでつまらない毎日が待っているだけだ。 もう少し…もう少し…この世界を見てみたい。 白ウサギのことも気になるし。 そう決意すると、あたしは再び歩きだした。
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