第1章:終わらない国へようこそ

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あたしはいつから独りだったのだろうか。 独りが当たり前となって、休み時間はいつも本を読むようになっていた。 本だけがあたしの世界となった。 つねづね思うことがある。 この世界はくだらない、こんな世界から逃げ出したい。 あたしはこの世界において、存在してないに等しい。 ある夜、あたしはひそかに願った。 あたしを…この世界から逃がして。 聞こえてくるクラスメート達の会話。 くだらない… あたしは生きてる中で、楽しみなんてものはない。 心から楽しいと思ったことさえない。 それどころか、笑顔を見せたこともないと思う。 最後に笑ったのはいつだったか…もう思い出せない。 遠い昔の記憶。 唯一の楽しみといえば、本を読むことだけ。 たまに夢を見る。 あたしがアリスになる夢。 あたしはこのアリスの物語が好きだ。 理由は忘れた。 でも、この日あたしは一生忘れることができない体験をすることになる。 さぁ…物語のはじまりだ。
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