第6章:アリス

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それから、また過去の時間が経ったみたいで、少しアリスが大きくなっていた。 アリスの父親はアリスの誕生日のたびに新しい物語を書いて、プレゼントしていたらしい。 アリスはあれから毎日毎日、アリスの物語を読んでいた。 何度読んでもあきないらしい。 父親は少し寂しさを感じていた。 毎日、自分の書いた物語を読むようになり父親とも交わす言葉が少なくなっていたのだ。 そんな生活のままアリスは15歳になっていた。 その日もいつものようにアリスの物語を読んでいるアリス。 別の部屋でガシャーンと音がした。 しかし、アリスは本に夢中になりまったく気づく様子はない。 なので、あたしが見に行ってみた。 すると、父親が倒れていたのである。 すぐさま、あたしは駆けつけ父親を抱き起こそうとするが触れられない。 これは、過去に起きた出来事…きっとアリスの記憶を見ているにすぎない。 だから、あたしが干渉できるはずもないし触れられるはずがない。 けど、あたしはこれをただ黙って見ているなんてできなかった。 あたしは、アリスの元へと行き呼びかけた。 「アリス!お父さんが倒れちゃったよ」 しかし、何の反応もなくアリスはずっと本を読んでいる。 「アリス!お父さんが!!」 反応しない。 やっぱ無駄なのかな…。 「お願い…アリス。気づいて…」 あたしは涙を流したが、それでもやっぱり無意味なんだと知る。 それから、何時間経っただろうか。 アリスのお父さんは大丈夫なのだろうか…。 あたしの声が届かない以上、あたしには何もできない。 アリスが気づかなきゃダメなんだ。 すると、アリスは本を閉じ立ち上がった。 読み終わったのかな? アリスはアリスの物語を片手に持ち、部屋から出て行った。 「お父様!!」 アリスの声が家中に響いた。
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