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「アリス、あなたルイス・キャロルの娘だったんだね」
「お父…様を…知っ…てるの?」
「知ってるも何も、ルイス・キャロルは世界的に有名な作家だもん」
「え…?お父様…が?」
「うん、ルイス・キャロルの不思議の国のアリスはあまりにも有名だもん」
「そう…なんだ…」
アリスは微かに嬉しそうな表情をした。
その直後、少し悲しそうな表情をした。
「アリス…あたし、あなたの過去を見てしまったの…」
「え…?」
「あなたに触れた瞬間に、見えてしまったの」
「そう…あなは…あたし…だものね」
「え?」
「気に…しないで。私の…過去は贖罪の意識でいっぱいなの」
「贖罪?」
「お父様が…死んだのは…あたしのせい…だから…」
「そんな…そんなこと…仕方なかったんだよ…アリスは気づけなかった…ただ、それだけ」
「それが…どんなに重い罪か…あたしが、お父様を殺した」
「違う!お父さんは病気だったんだよ。アリスのせいじゃない!」
「私の過去を…見たのなら…知ってるでしょ?」
「でも!それでも…お父さんが死んだのは、アリスのせいじゃない!」
「ありがとう。そう…言ってもらえると、多少なりとも救われるわ…でも、私はこの十字架を背負って生きていくの」
「そんなの…お父さんも望んでないよ。アリスが、そんな十字架を背負って生きることなんて…アリスの物語は、アリスへの愛が満ち溢れていた。だから、あたしも好きだった」
「ありす…」
「父親が望むものなんて、ただ一つ…娘の幸せだよ」
アリスは少し呆けた表情をしていた。
「…ふふ、そうかもね…私ももう少し…前向きに…生きてみようかな」
「そうだよ。アリス」
アリスの表情は穏やかになっていた。
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