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あたしが目を開けると、そこには鎖と足枷から解放されたアリスがいた。
「できた…できたよ。アリス」
「言ったでしょ?あなたにならできるって。慣れれば、時間をかけることなく反射でできるようになるわよ」
「アリス、ありがと」
「いいえ、お礼を言うのは私の方よ。ありす」
あたしはアリスに笑いかけた。
その時、どこからともなく声がした。
「ありす」
あたしは声の元を探した。
すると、鉄格子の窓のところに何かいた。
よく見てみると、ハンプティ・ダンプティにティードルディとティードルダム、そして包帯を巻いたチェシャ猫がいた。
しかも、みんな体が小さい。
じゃあ、あのクッキーを食べたんだ。
体が小さくなったみんなは鉄格子の隙間から中に入ってきた。
「ありす!」
ハンプティ・ダンプティはありすに抱きついた。
「みんな、来てくれたんだ」
あたしは嬉しくなった。
こんなあたしのために、助けに来てくれるなんて…。
チェシャ猫はアリスの前にいた。
「チェシャ猫…」
アリスの目には涙が溜まっていた。
「アリス…ごめんよ。遅くなって…」
「ううん…来てくれてうれしい」
アリスは小さくなったチェシャ猫を掌にのせた。
「ありがとね」
そう言うとアリスはチェシャ猫の頬に軽くキスをしたのだ。
チェシャ猫はまるで、茹で上がったタコのように真っ赤になっていた。
その様子を見たあたしはチェシャ猫を可愛いと思った。
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