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すると、チェシャ猫が照れたような顔でこっちを向いた。
「次は君の名前を取り戻す番だね」
「うん、そうだね…でも、チェシャ猫はアリスを連れて逃げて」
「何を言ってるんだい?僕も行くよ」
あたしは顔を横に振った。
「ううん、チェシャ猫もアリスもひどい怪我じゃない。ちゃんと手当てしないと…」
「私は平気よ。助けてもらったしね。それに…女王と決着も着けなければいけないし」
「アリス…」
チェシャ猫がアリスを見上げ呟いた。
「チェシャ猫も来てくれるよね?」
「もちろんだよ。僕はアリスの飼い猫だからね。どこまでもアリスに着いて行くよ」
「ふふ、ありがとチェシャ猫。これで、決まったわね。みんなで女王の元へ行きましょう」
「まずは、ここから出ないと行けないわね。どうするの?」
「みんなでこれを食べよう。ハンプティ・ダンプティ」
チェシャ猫に呼ばれ、ハンプティ・ダンプティは頷きポケットから袋を取り出した。
それは、あの大きくもなれれば小さくもなれるクッキーだった。
「これを食べて、あの隙間から外に出るんだよ」
チェシャ猫は牢の木製の扉の隅にできた隙間を指差した。
確かに、このクッキーを食べればあそこから脱出できるかもしれない。
でも、果たして見張りに見つからずに行けるのか?
「このくらい小さくなれば、きっと見つからないよ」
チェシャ猫は自信満々にそう言った。
まぁ、そんな自信満々に言うなら…他に方法もないわけだし…。
そう思いあたしはチェシャ猫の提案に賛成した。
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