第7章:想像と創造

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そう、悩んでいるとチェシャ猫が口を開いた。 「みんな、僕の背中に乗って」 「チェシャ猫の?」 「早く、門番に気づかれる前に」 あたし達は急いで、チェシャ猫の背中に飛び乗った。 「みんな、乗ったかい?」 「う、うん」 あたしが答える。 「じゃあ、行くよ」 チェシャ猫はそう言うと、物凄いスピードで螺旋階段を降りて行く。 あたしらは、振り落とされないようにしがみつくのに必死だ。 あっという間に、塔の一番下へとたどり着く。 チェシャ猫の背中から降りると、あたし達は見つからないように物陰へと隠れる。 「さて、アリスを助けたまではいいが問題は次だ」 「そうね。ありすの名前を取り戻すなら女王と対峙しなければならないわ」 「でも…やらなきゃ。あたしを取り戻すためにも」 「…なら、女王のもとへは僕とこの子だけで行く」 「そんな!チェシャ猫。私は?」 「「僕達は?」」 アリスに、ハンプティ・ダンプティーとティードルディとティドルダムも口を揃えて言った。 チェシャ猫はアリス、それにみんなの顔を見渡した。 みんな少し悲しそうな顔をしていた。 「ここまで来て仲間はずれかい?」 「はずれかい?」 「そんなんじゃない。お前たちにはやってもらいたいことがある」 「私も?」 「あぁ、アリスは怪我も酷いしなにより今は力が使えないのだろ?」 「それは…」 「心配するな。こっちにはこの子の力がある。アリスの力が」 「でも…女王は…」 「わかってる」 「え?どういうこと?」 ありすが話しに割って入った。 すると、アリスがあたしの手を握ってきた。 「チェシャ猫。わかったわ。あなた達二人にまかせる」 アリスの顔を見ると、まるで祈るかのような表情をしていた。 「ありす。気をつけて…女王も力を使うわ」 「え…女王も…」 「ええ…」 「どういうこと?」 「シッ!!」 チェシャ猫がみんなを黙らせるかのようにそう言った。
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