80人が本棚に入れています
本棚に追加
噴水広場に着くと、アリスは街を歩く人々に向かって叫んだ。
「みんなぁーーー!!!聞いてーーーー!!!!」
通行人達がアリスの声に振り返った。
「みんな!!私達と一緒に戦ってほしいの!!!」
すると、通行人達はざわざわしだした。
「おい、あれ…アリスじゃないか?」
「ほんとだ。アリスだ。城に幽閉されてたんじゃないのか?」
「そうだよ。今日、処刑されるって話しじゃなかったか?」
「なんで、こんなとこにいるんだ?」
そんな様々な言葉が聞こえてくる。
「お願い!!みんな、私と一緒に戦って!!!」
「戦ってって言われてもなぁ…」
「そうだよなぁ…」
「みんなの力が必要なの!このまま女王の好きにさせておいていいの?」
「女王に逆らったら、殺されんだぜ」
「そうそう、いくらアリスの頼みとはいえなぁ…」
「大丈夫!!私達がこの世界を必ず女王から解放してみせる!!!」
「女王から…」
「だから、私を…いえ、私達を信じてください!!!」
「確かに女王から解放されるなら…」
「アリスなら、ほんとにやってくれるかも…」
そして、いつの間にかアリス達の周りにはすごい人だかりができていた。
「みんなでこの国を…この世界を取り戻しましょう!!」
アリスがそう叫ぶと、一斉に歓声が上がった。
その時、どこからか蹄の音が聞こえてきた。
その音はだんだんと近づいてくる。
すると、人だかりは左右に分かれ道を開けた。
走ってきていたのは、額に角を生やした馬…一角獣だった。
一角獣はアリスの目の前までやってくる。
すると、アリスはあるものに目が行った。
「チェシャ猫!!」
そう、一角獣の口にくわえられた傷だらけのチェシャ猫だ。
「ああ…なんてこと…」
一角獣はチェシャ猫をアリスに渡す。
やはりというか、傷だらけのチェシャ猫はピクリともしない。
「すまない。助けられなかった…あの子も…」
そう言うと一角獣は悔しそうに歯を強く噛みしめた。
最初のコメントを投稿しよう!