5人が本棚に入れています
本棚に追加
「よくこんな道を見つけるよな。
普通は入ろうなんて絶対思わねえよ」
「な!そんなこと言うなよ!
こちとら、遅刻を回避する為にこの町の地図を見て覚えまくったんだ!
その副産物が、数々の近道に繋がったんだよ!」
「副産物じゃなくて、明らかにそっちがメインだろ」
呆れ顔で見ると、清太はむきになって反論してきた。
そもそも、遅刻しないように早起きすればいいと思うんだが。
こんなところで、あーだこーだ言っていてもしょうがないので、あまり気は進まないが、俺達は清太の言う近道とやらに入っていった。
「……いくらなんでも、暗すぎだ」
近道に入って三分後、出てきた感想がそれだった。
暗いし、汚いし、臭い。
いらない3Kだ。
「あとちょっとで裏通りに出るから、我慢してくれよ」
「ゲーム屋に着いたら、なんかゲーム一本俺に買えよ。
それくらいしてもらわんと割に合わん」
「そこまで!?」
道をあまり知らないから、清太に付いていくことしか出来ないせいで、俺はさすがに文句が溜まってきていた。
帰りの道は、せめてマシであることを願うか。
「ん?
おい清太、変な臭いがしないか?」
多分近道の出口なのだろうが、少し行った所に光を見つけた。
その時、ふと鼻に浸く妙な臭いを嗅いだ気がした。
「そりゃゴミの臭いだろ?
こんな道だから、ゴミがあちこちに散らばってるんだよ」
「そうか、それもそうだな」
特に気にも止めず、俺達は裏通りに向かって、また歩き出す。
途中、水溜まりがあり、やむを得ず踏んで裏通りに出ると、ゲーム屋の目の前だった。
最初のコメントを投稿しよう!