5人が本棚に入れています
本棚に追加
雪が降り積もるなか、俺達は歩いていた。
町の様々な場所に、色とりどりのイルミネーションがきらびやかに輝いている。
年末が近いせいか、店頭では色々な物を販売しており、繁盛しているところでは大きな人だかりが出来ている。
「なあ、こんなにリア充がいっぱい居るところで男二人ってかなりアウェーな感じじゃねぇか?」
隣で何か言っている男は、俺の幼稚園からの幼なじみ……というよりは腐れ縁に近いかな。
真藤清太(しんどうせいた)。
開いているのか閉じているのか分からないほど目が細く、特徴的な黄色いフレームの眼鏡を掛けている。
癖っ毛を気にしており、いつもストレートの髪がうらやましいとぼやいている。
寒そうに両手をダウンジャケットのポケットに入れ、白い息を吐きながら、クリスマスが過ぎたのにも関わらず日に日に増えているように感じるカップルたちを見ては、溜め息を吐いている。
「そこまで気にするなら、別に外で遊ぼうなんて誘わなければ良かったろ?」
「だってよ、家に居たら姉ちゃんが見せつけるように彼氏とイチャイチャしてるんだぜ。
誰がそんな生き地獄味わいたいなんて思うよ?
凛桜(りお)だってそう思わねぇか?」
自己紹介がまだだったな。
俺の名前は、飛燕凛桜(ひえんりお)。
この冬に18になり、俺達の住む町、網錦町で暮らしている普通の高校三年生。
最初のコメントを投稿しよう!