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「ふふっ、相変わらずね。
わかったわ、ちょっと待っててね。
ていうか、こんなに寒いのにアイスコーヒーなんだ」
「そんな気分なだけだ」
そう、夏菜はそう短く言うと、カウンターに戻っていき、料理の準備に取りかかる。
「なあ、客も俺達しかいないみたいだし、カウンター席にいかないか?」
「な、なんだってんだ!?
凛桜、それは随分とチャレンジャーな……
それに、俺の心の準備も……」
何勘違いしてんだよ。
勝手に暴走すんな。
「違ぇよ。
俺達しか居ないし、店員が夏菜だけってことはだ、店長さんに任されてるってことだろ?
だから、カウンター席なら夏菜とも話せるし皿出しだって楽になるだろ?」
「あぁー、なるほどね。
納得だわ」
「別に、愛の告白をしたいってんなら止めはしないが」
「ば、バカ!
んなことしねーよ!!」
「おーい、夏菜、カウンター席に行ってもいいか?」
「人の話くらい聞けや!!」
アホの清太君が何か言ってるようだが気にしない。
夏菜は料理の手を止めることなく、別に大丈夫と答えてくれた。
お冷やを持ってカウンターに行くと、早くもうまそうな匂いが漂いはじめていた。
「さすがに慣れてるもんだな」
「ふふん、誉めたって何も出ないよ?」
「いや、清太が出してくれるだろうから」
「なんでお前のために何か出さないといけないんだよ!
んな理不尽あるか!!」
後から座った清太に向けて、聞こえるように話すと、ちゃんと反応してくれた。
そこからは、色々な話をした。
学校のことや、進路のこと、二人とも色々考えているみたいだ。
俺はまだ考えている最中だ。
大学に進学するなら学費は心配するな、と父は言うが、ここまで脛をかじってきたのだから、早いとこ就職して自立しながら恩返しをしようと思う自分も確かにいる。
二人は大学に進学するようで、希望する大学も同じだ。
「俺は、どうするかな……」
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