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食が進めば、会話も進み、料理もあと少しだけになっていた。
窓の外に目を向けると、まだ雪が降っているようで、ヒラヒラと白い塊が舞い降りてくる。
「まったくやむ気配がないな。
こんなにこの町で降るなんて珍しいんじゃないか?」
「確かにな。
でも、これで今年もスノボー出来んじゃんか。
週末とか、予定空いてたら行かねぇか?」
「あ、あたしも行きたい!
週末は休みになってるから」
とんとん拍子で話は進み、今週末にスノボーをしに行くことが決まった。
帰ったら、ボードとウェアの確認でもするか。
ふと、俺が思い出したかのように話す。
「話は変わるんだが、最近、不思議な夢を見るんだ」
俺がそう言うと、二人が声を揃えて夢?と聞き返して来る。
普段なら、特に覚えていないせいで気にはしないんだが、はっきりと鮮明に覚えているんだ。
「夢くらい誰だって見るだろ?
そんなに不思議な夢なのか?」
「ああ。
不思議なもんでさ、いつも決まって同じ夢を見るんだ」
始まりは、いつも同じで、場所が……そうだな、まるでファンタジーもののゲームに出てくる神殿みたいなところにいるんだ。
そこでは、手も足も感覚はあるんだが動かせなくて、かろうじて目で周りを見回すことくらいしかできない。
見回してみると、両脇に柱が何本も立ち並んでいて、奥の方は暗くて何も見えないんだ。
だけど、俺の周りだけすごく光っていて、足元を見ることが出来た。
どうやら、神殿の祭壇みたいなところにいるんだろうな。
床には、タイルが敷き詰めてあって、所々によく解らない文字と絵が書いてある。
そこから、視線を少しずつ上に動かしていくと、天井に天窓みたいな穴があって、黄色い月と青白い月が見えて、そこでいつも夢は終わるんだ。
「……てな感じなんだが、どうだ?
っていわれても、どうも答えようがないだろうけどな」
最初は何を言っているのか分からないような顔をしていたが、話が進むにつれて真剣な顔になってきて、聞き入っていた。
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