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「んー……
なんだろうね、夢って何かのきっかけで見るものでしょ?
しかも、すごく具体的に覚えてるなんて」
確かにそうだ。
特に何かある夢ではないんだが、事細かに覚えている。
その気になれば、あの部屋を書き起こす事だって出来るはず。
「まぁ、なんだ。
考えてもらちがあかねぇよ。
何か力になろうとしても、まるで情報が足りなすぎる」
「……それもそうか……
すまなかったな、変な話を持ち出して」
「いいんだよ別に。
俺達はダチだろ?」
「ふっ……完全に死語だぞ、その言葉」
俺がそう言うと、清太はう、うるせぇ!といって残りのナポリタンを口に放り込んだ。
まったく、いい友達をもったもんだよ、俺は。
そう親父くさいことを思いながら、俺も食べかけのオムライスを口に運ぶ。
「……お、もうこんな時間か」
ふと、腕時計を見下ろすと、短針が8時を通りすぎていた。
「夏菜、ご馳走さま。
会計を頼む」
「はい、お粗末さま。
えーと、二人でちょうど二千円だね。
別々?一緒?」
レジに立つ夏菜にそう言われると、俺は財布を取り出して、俺が出すから一緒で、と答える。
「凛桜、いいのか?
俺の分までだしてもらっちゃって」
「大丈夫だ。俺だってバイトしてるんだぞ?
それに、この方が後腐れなくていいだろ?」
まあ、基本的にこれぐらいしかお金の使い道がないからあまり気にしてないんだが。
「そっか、じゃあお言葉に甘えてご馳走になるわ」
清太は、財布を出そうとしていた右手を引っ込め、俺に軽く頭を下げた。
「それにしても、凛桜って意外と金持ちだよな。
やっぱり、親がああだとそんなものなのか?」
「よしてくれ。
俺は、自分のお金くらい自分で稼ぎたいって思ってるだけさ。
使い道があまり無いから、貯まっていくってだけだよ」
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