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「流弥!」
全力で走り駆け寄る。
近づけば流弥の傷がより鮮明に見え、光輝の心が強く締め付けられる。
「流弥!流弥!!」
「...無事...か?」
今にも消えてしまいそうな、弱々しい声で喋る。
「喋るな!喋らなくていい!
今すぐ助ける、だから喋るな!」
「無理...だ」
「無理じゃない!」
流弥に言うというよりも、自分に言い聞かせるように言う。
「お前まで...お前まで私を置いていくなんて許さない!」
「そのことは...本当...に...すまないと...思ってる。
俺が...俺のせいで...光(ひかる)と...光輝ちゃんを...引き裂いちまって...」
「そんなことは今いい!
頼むから...お願いだから私を一人にしないでくれ!
お願い...だから...」
光輝の頬を雫が伝い、流弥の胸へと吸い込まれる。
「悪い...な...」
何度も、何度も、光輝は消えるなと願う。
だが、光輝の願いは届かず、流弥の体は少しずつ光の粒子となって空へと溶けていく。
発展者が死んだ場合、死体は残らない。
体は光の粒子となり消えてしまう。
流弥の今の状態は発展者の死に方と同じだ。
「光輝...ちゃん」
光輝の頭に、流弥の手が力無く乗せられる。
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