理不尽こそ神様

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「それでは、僭越ながら私が説明をさせていただきます」 「ああ、よろしく頼む」 後ろで、放置プレイとか感じちゃうぅぅ、などと神(仮)が言っているが、流弥もトリアナも華麗にスルーをする。 「転生...などと言う面倒な言い回しは辞めましょう。 貴方には地球ではない世界、つまり異世界へ行ってほしいのです」 「異世界...そんなものが存在するのか?」 「はい、存在します」 「それは神が作り出し管理しているのか?」 「厳密に言えば異なる物もありますが、概ねそれであっています」 どこか引っ掛かる物言いに、流弥は眉をひそめるが、取り敢えず今は気にしないことにする。 「神はそこのドM以外にも多く存在しており、それぞれ担当の世界を管理しています。 勿論、神にも地位と言うものがあります。 下級神から始まり、中級神、上級神、最上級神、と言う風になっています。 位が上がるにつれて、神そのものの力は勿論、管理する世界の量と質も向上します。 因みにそこのドMは最上級神の一人です。 流弥様にはそこのドMの管理する世界の一つに行ってもらいたいのです」    流弥は、一人でビクビクと痙攣しているドM神に一瞥を投げる。 が、軽く見たことを後悔してしまった。 これが最上級神と言うのは些か説得力欠けることだが、事実であるのだから仕方がない。 「で、あんたらは俺に結局何をさせたいんだ? 只その世界に行って暮らしてほしい訳じゃないんだろ?」 「流石、話が早くて助かります」 トリアナは一度威圧するかのように咳払いをする。 それだけで後ろのドMが喘ぐのを辞めた。 これではどちらが神か分かったものじゃない。 「流弥様にはそちらの世界で転生者の処分をしていただきたいのです」 「転生者?」 「あ、先ずはそちらの説明からでしたか。 説明不足ですみません」 一瞬そこからかよ、と言った顔をするが直ぐに元の表情に戻す。 「転生者と言うのは、一度死に別の世界に転生した者のことです。 本来死んだ者が輪廻から外れ、順番を待たずして行き返るなどということは有り得ません。 ですが、そうせざるを得ない場合も存在するのです」 「神のミスで、本来の運命から逸脱してしまった場合、か?」 「ご名答です。 流石ですね」
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