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「はぁ…」
流弥自身意識はしていなかったが、何度も溜め息を吐きながら帰路につく。
自分でも理解できない感情が流弥の中で渦巻く。
いや、本当は分かっている。
だからこそ目を背けている。
気づかない振りをしている。
そんな自分に嫌気がさしているから溜め息が止まらないのだろう。
嫌な感情を振り払おうと頭を振っていたとき、嫌なものが見えた。
「これは…マズいな」
4キロ程前方に、鉄骨やコンテナを操る少年と、三メートルはある大剣を片手で振り回す少女が争っていた。
いや、正確には殺し合っている。
相手の命を奪うことを最優先し、お互い一切の加減をしていない。
「光輝ちゃんが押されてる。
相手は...発電系の発展者か」
鉄骨やコンテナの間が時々スパークしている。
それだけでなく、少年本人の体から直接電撃が放たれている。
状況は、少年が少女...神崎光輝をあと一歩のところまで追い詰めている。
あと数分もしたら、光輝の体は無惨な肉塊に変わるだろう。
「さっきの奴らとは別だな、どこの奴だ?」
考えてみるが該当する敵はおらず、答えは出ない。
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