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「仕方ない、行くか」
流弥は光輝の元へと全力で駆け出す。
その速度は尋常ではなく、車や新幹線では相手にならないほどだ。
流弥が通りすぎると、人が倒れ、自転車が転倒し、車が浮かび上がる。
人の波を縫うように走り続ける流弥のことを、誰も目視することが出来ない。
突如自分の真横で発生した突風に驚くが、何が起きたのか全く理解できていない。
突風に倒れる人々に心の中で謝り、光輝の元へと急いだ。
◇◆◇◆◇
「アハハハ、ほら、ちゃんと避けないと死んじゃうぞ!
アハハハ、ハハ、ハハハハハハハハ」
「くそっ!」
電流により操られ、自分を貫こうと迫ってくる鉄骨を大剣で凪ぎ払いながら、光輝は悪態をつく。
コンクリートが砕け、鉄骨やコンテナが異様な形で地面に突き刺さっている。
砂鉄の足場を作り、空中に立っている少年には傷一つないのにも関わらず、光輝の体は傷だらけだ。
致命的な負傷はなんとか避けているが、いつ動けなくなってもおかしくない。
(くっ!完全に暴走してしまっている)
少年には既に自我はなく、人を殺したいという衝動だけで動いている。
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