友への贖罪、贖罪の罪

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(ダメだ...このままでは殺られてしまう。 呑まれてしまう前になんとかしようと思ったが、殺すしかないか) 最初から加減はしていなかったが、始めは助けることを意識していたため、上手く攻めることが出来ずにいた。 だが、それは少年を救おうとしていたからだ。 能力に呑まれてしまった今、少年を救う手立てはない。 これ以上暴走させないため、殺す以外手はない。 まだ若いとは言え、光輝はプロだ。 殺すと決めれば一切の容赦を消すことが出来る。 彼女自身少年を救いたい気持ちは大きいが、こうなってしまってはその気持ちは邪魔なだけである。 気持ちを切り替え、相手を観察し考察する。 (相手は発電系の発展者、基本的には鉄骨やコンテナを操り攻撃してくるが、隙をつくように直接電撃を飛ばしてくる。 一撃一撃の威力は高いし隙も少ないが、強化系の発展者ではないから一撃入れれば勝てるはず) 光輝自身は肉体強化の発展者である。 発展者とは、特別な能力を手に入れ発展した人間のことだ。 人により発現する能力は異なる。 発現する能力は、その人の経験や強い願いに影響されると言われている。 例えば、火事で辛い経験をした人ならば発火系の能力、といった感じだ。 能力の発生には二パターンあり、先天的発生と後天的発生がある。 先天的発生は、生まれた時から能力が発現している。 後天的発生は、ある日ふと能力が発現する。 経験や願いの影響で発現する能力が決定するとされているが、これは後天的発生のみだ。 先天的発生の場合、どのようにして能力が決定しているのかは推論すらない。
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