友への贖罪、贖罪の罪

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少年が陥ってしまっている状態は暴走という。 暴走とは、後天的に能力を発現させた人に起こることがある現象のことで、起こる確率は50%といったところだ。 能力を得るための発展に脳がついていけず、自我を失い始め強い破壊衝動に襲われる。 これが暴走だ。 呑まれるというのは、暴走状態が長く続き、自我を完全に失ってしまうことだ。 暴走状態ならば治癒系の能力で治すことが出来るが、呑まれてしまうとどうすることも出来ない。 少年は完全に呑まれてしまったため、手遅れなのだ。 (隙を見て一撃いれるしかないか) 鉄骨とコンテナの雨を大剣で凪ぎ払いながら、少年が罠に掛かるのを慎重に待つ。 自我を失っていると言っても知性まで失ってしまっている訳ではない。 思考もあれば会話も出来る。 だからこそ慎重に行動する。 自らの心を落ち着かせ集中する。 相手の動作一つ見逃さないように集中する。 だが、それが間違いだった。 飛んで来た鉄骨を凪ぎ払った直後、少年に決定的な隙が出来た。 鉄骨やコンテナも凪ぎ払ったため、少年までの道を阻むものはなにも無い。 (もらった!) そう確信し、全力で大地を蹴り飛び出す。
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