結局は、なれないのだ

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一つになりたい…言葉のままだ 可愛い彼女ともっと近付きたい キスをしても 手を繋いでも 身体を重ねても まだ足りない もっともっと彼女に沙綾に近付きたい 重なり合ったトコロから 溶けて、混ざり合って、僕と沙綾が一つにな… 「どうしたの?  さっきから難しい顔をして」 下から表情を伺うように覗き込んでくる彼女の幾分か 低い位置にある頭を撫でながら 「ううん。  何でもないよ」 安心させる様にへにゃりと笑ってみせる。 少し考えるようにしていたようだけど どうやら納得してもらえたようだ。 きっと、一つになれたら とてもとても気持ちいいのだろうけど 重なり合った手から伝わる温もりが心地よい。 僕と彼女を隔てるように 皮、一枚。 物理的に別々の僕らが一つになることはない。 それでも、 触れ合ったトコロから広がる熱に、 幸福と存在を感じられる。 なりたいのは願望であって、 実行しようなんておもわない。 皮、一枚、 もどかしい距離だけれど きっと僕には それ位がちょうどいいのだ 「…あいしてるよ、沙綾。」
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