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勇者「でも、精神はそうはいかない」
姫様「精神……?」
勇者「そう精神。心ともいうかな。そこがね、壊れてくるの」
勇者「この薬はよく効く反面、とても強いんだ。強くて強くて、心をズタボロにできるぐらいに」
勇者「一口飲むと、激しい高翌揚感で何でもできそうになる。実際、傷が治っちゃう訳だし」
勇者「でも、飲んで一時間後ぐらいかな。その辺りから副作用が出始める」
勇者「幻覚が見えてきたり、体の筋肉が弛緩したり、訳のわからないことを叫んだり、身体の中を虫が這いずり回ってるように感じたり」
勇者「そういう状態が半日ぐらい続くんだ」
勇者「だけど、半日もそうしてて魔物に襲われでもしたら一巻の終わりだ」
勇者「だから、こいつの副作用が出始めた頃に、精神を落ち着ける魔法をかけてもらうか、薄くした超回復薬をまた飲んでだましだましやっていく」
勇者「そんな事を続けていった結果、戦士はどうしようもないぐらいに心が壊れちゃった」
姫様「そうなってしまう前に、安全な国に戻って養生することはできなかったのですか!?」
勇者「あー、俺が帰ってくる時に使った移動魔法ね。まあ確かに、あれを使えば一瞬でここには戻れたな」
姫様「だったら!」
勇者「でも却下だ」
姫様「何故!?」
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