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僕がもぐもぐと肉まんを食べ進めていると
「……」
見てるんです。
「……」
彼女がこっちをすごく見てるんです。まるで空腹に耐える捨て犬のごとく。
「……」
見てるんです。
「……」
「あげないよ?」
「なんでですかぁ!?」
彼女はすごくびっくりしてました。あれ、僕がわけるとでも思ってたのかな?
「うぅーひどいですよー。朝ご飯食べてないからお腹すいてるんです。それに寒いし……一人だけ食べてるなんてずるいです!」
「だって僕が買った肉まんだし」
そういうと彼女は頬を膨らましそっぽを向いた。そうやら怒ってるらしい
「いいですよ!いいですもん!くれなきゃこの前のことを言いふらして――」
「それはしない約束だろ?」
そうなんです。この前みたいにあれを盾に取られちゃ言い返せなくなるし僕が奴隷のようになってしまう。ということで昨日の保健室でのやり取りの後、『手伝うからもうあの事をネタにしない』ということで2人で決めたのだ。
だから僕も自由に言える。
そうすると彼女は諦めて下を向いた。僕の勝ちです。
肉まんとミルクティーを食べ終えた僕は彼女とこれからのことを話すことにした。もちろん選挙についてだ。
「で、朝来たは良いけどなにすんの?」
こんな朝早く来てるんですから何かしないともったいないです。
「んー。何しましょうか?私ノープランなんですよねぇ」
「……は?」
ん?聞き間違いだよね。ノープランてデートじゃあるまいしね。立候補者なんだから何をするかぐらい考えてるよな、ははは……
「……ほんとに何も考えてないの?」
「まったくのノープランですっ!」
彼女は笑った。僕の中での彼女の笑顔は軽くトラウマになりつつあるのだが。
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