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鐘は鳴る。
時間を刻む僕らの学園の大きな時計は毎回分針が12の位置に来ると大きな音を立てて鳴る。それがこの学園の始まりと終わりをいつも告げているのだ。
朝は8時。
鐘が鳴り1日の授業がスタート。そしてそこから午前は5時限の授業を行い12時の鐘が鳴った所で昼休み。学生にとっての昼休みは至福の時、そうそれはまさにユートピア。砂漠のオアシス、天竺、酸素カプセルなのだ。そんなガンダーラもつかの間。午後1時の時を時計が伝えると6、7時限と午後の授業が始まる。そして3時の鐘を時計が告げたところで1日のすべての授業が終了。第2のオアシス、放課後と言う時間がやってくる。
この放課後の時間には部活をしたり友達と喋ったりするわけで学校での唯一の楽しみを味わえるのだ。そして6時の鐘が鳴ると生徒はすべて帰宅。明日に備えて食事や睡眠、予習など行い1日にサヨナライオンするわけだ。
しかし、これは一般生の話である。
それはもうホントに普通の一般生の一般生による一般的な1日のスケジュールなのだ。つまり何が言いたいかって言うと。
僕にはオアシス何て存在しないってことだ。
ここ関ヶ原学園はかの有名な天下分け目の関ヶ原の合戦の跡地に建設されたらしい。総生徒数もなかなか多くそれなりの大きな学校なのだ。
時間は3時15分。時間的には放課後の時間帯が始まったばかり。僕はこの学園のとある一室――生徒会室へ向かう。
そうこの僕――真田雄太(さなだゆうた)は何を隠そう生徒会役員なのである。だから一般生とは違って放課後のオアシスなんて存在せず、待っているのは生徒会業務。ユートピアなどではなくただの地獄なのだ。
そんな僕がなぜ生徒会に入ったのかを話そうか
あれは4月。桜が舞散る2年に進級した春のこと。
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