執行部誕生編~生徒会への加入とその経緯についての考察~

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「昨日もらったのはタスキとプレート、あと公約を書いたりする紙ですね。それと、ポスターも入ってました!選挙管理委員さんにもらったのはこのくらいです。あ、あと私拡声器持ってきましたよ!私声ちっちゃいから遠くまで聞かせるにはこれが無きゃですね!」 はい、只今作戦会議中。まず、昨日彼女が立候補届け出の時に選挙管理委員さんにもらったものを見せてくれました。タスキには『浅井市夜』とかなりうまい字で書かれていた。僕はお世辞にも字がきれいとは言えない。ゆっくり丁寧に書くんだったら早く一文字でも多く書くからなあ。 そしてプレート。これは名前だけでなく写真などを張り付けたり絵を描いたりしてもいいことになってるらしい。興味のない僕がなぜ知っているかと言うと貰ってきたものの中に『初めてでもこれで安心!選挙マニュアル!』というものが入っていたのだ。早い話が選挙の取り説である。 これにも『浅井市夜』と書いてあった。書いてあるだけでなくプレート自体が桜の模様となっていた。正確には桜の絵が綺麗に描かれていた。絵もこの子は上手いのかもしれない。昨日もらってきてこのクオリティーはやはりこの子が持つ才能だろう。 そして最後にポスター。これには名前だけでなく顔を入れなければならない。写真でも絵でもいいのだが最近の選挙での当選者は絵を描いた人の方が有利だと言う。これも取り説の『裏技!』のとこに書いてあった。 で、彼女の描いたポスターには『浅井市夜』ときれいに書かれた時とそしてその字とは不釣り合いの、まるで幼稚園生の落書きがあった。そう、まさに落書き。かろうじて人だということは読み取れた。 「あのー」 「なんでしょう?」 彼女はなぜかウキウキしてる。ああ、この絵はこの子が書いたんだ。きっと感想を待ってる。いいね!って言われるのを待ってる。 でも僕は嘘が嫌いだしこの落書きを掲載するわけにもいかないので正直に言った。 「いやあ、字とか桜の絵とかほんと上手いんだけどね。このポスターの落書きは何?妹にでも書かれたの?」 いやあ僕ってなんていい子。正直者は救われるね。わざと嫌味っぽく言ってみた。さあ、彼女の反応は……
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