執行部誕生編~生徒会への加入とその経緯についての考察~

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ちらほらと登校する人が出てきた現在6時45分。朝連に来た人たちが校門を通っていく。そして僕らは何をしているかと言うと 「えっと…2年Aクラス所属。出席番号1番!浅井市夜です!みなさんよろしくお願いします!」 拡声器を通して発せられる自己PRは校門を通る生徒の関心を引くのにはもってこいだった。特に男子ども。彼女の美声につられて朝連に行くのを忘れた何人かは浅井さんの取り巻きのようになっている。そんな奴らに浅井さんはあれ持って!とかこれ書いててください!とか近寄らないでください!とかと指示を飛ばしている。 で僕は僕でプレートを持って彼女のとなりに黙って立っている。だって喋ることもないしね。 そんな風に黙ってると彼女が僕に話しかけてきた……拡声器を通して。 「あの!黙ってないでさな君も応援してくださいよ!」 「……」 「あれ?どうしたんですか?耳抑えてうずくまって?ほら!せめて立ってくださいよ!」 この子やっぱり怖いです。ああ、ワザとなのかな。分かってこの子は僕に拡声器で喋ってるのかな。 そんなこんなで人生初、真横で拡声器で喋られるといういじめを受けました。 一般生もちらほら来始めた7時。 「えーそうですか?そんなことないですってばぁ。えへへへ」 取り巻きの男どもはさらに増えまして、ついには彼女はその取り巻きたちとおしゃべりを始めました。見てて思いましたが意外と喋ります。人見知りとはなんだったのか。この子はほんとに当選する気があるのだろうか…… さすがにこれではいけないと思った僕は説得を試みようとして取り巻きに囲まれている彼女へ進軍してみることにした。 「あのー浅井さん?話してていいんですか?選挙の活動を――」 その時。 その一瞬だった。 僕が取り巻きの中に強引に入るように体を入れて彼女へ説得を始めたそのとき。 人が飛んだのだ。
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