執行部誕生編~生徒会への加入とその経緯についての考察~

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鐘が鳴った。 今この瞬間において授業のすべての日程を消化できたことになる。残った仕事と言えば当番が掃除をするだけだが僕は今日は当番ではないのです。 部活も入っていない僕にとって今までの放課後の時間は意味のないものだった。 今までは の話だが。 帰るだけだった暇な放課後の時間も今は、1分、1秒でも惜しい。 帰り支度をとっとと済ませ僕は彼女――浅井さんとともに作戦会議するべく図書室へと向かった。 図書室に行くとそこにはもう浅井さんが居た。なかなか仕事が早いようで。 「遅くなってごめんなさい」 とりあえず謝罪。荷物を置いて席に座る。 「いえいえ!私も今来たとこですから!」 そうこのやり取り。傍から見れば付き合い始めのカップルに見えるだろう。でもそんな僕らは立候補者とその責任者兼応援者の関係だ。 やましいところは今のところない。 さて。時間も惜しいことだし。本題にさっさと入りましょうか 「作戦会議、始めましょうか」 「あ、は、はい!」 どんな戦、戦いにおいて僕が最も重要視するのは“情報”だ。 どれだけ戦力をそろえようとも情報を掴み的確な対処をすれば関係ないことだと僕は思う 「つまりですね。僕らが選挙活動する前にすることは3つ。1つめはまず『己を知ること』自分たちがどれだけ戦力を持っていてどの場所にいるのかを把握し長所と短所を明確にしておくことです」 この場合戦力とは有権者。場所は立候補者の中での人気具合。どこを攻めるかはだれを相手取るのかということだ。 この学園の選挙システムは少し変わっている。大体の学校は成績上位者を任命したり、立候補者は役職に立候補する。例えば会長候補とか副会長候補といったように。これによって同じ役職同士で争うことになる。 しかしこの学園は『一括立候補制』なのだ。 生徒会に参加したい人たちが役職ではなくフリーで立候補する。有権者はこれに対して信任かそうでないかを投票してもらう。信任票が多かった人順に役職を選択していくという訳だ。でもって立候補者や不信任で落ちた穴に成績上位者を入れる。しかしこの成績上位者には生徒会内部での権限はほとんどない。まさに数合わせだ。だからこの場合断ることもできるし、場合によっては生徒会の人数既定の人数に満たない中で活動を行った時代もあったらしい。
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