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履き替えて外に出て北条さんに近づく。下駄箱の位置関係により横から近づく形となった。さっきよりも近くから北条さんを見る。顔は悪く無い。いやむしろすごく良い。なんというのだろう。浅井さんはどちらかと言えば『可愛い』方に入るし例えば織田さんなんかは『美しい』という言葉が似合うだろう。しかし、北条さんはなんていうか『綺麗』とか『可愛い』とか『美しい』とかその褒める言葉を足せるだけすべて足した凄い美貌の持ち主なのだ。
背もそんなに低く無い。てか僕より大きいと思う。出てるところは出てしまっているともしまっている。間違い無くこの学園で一番きれいな人だろう。断言できる。
しかし
違和感。そんなこの世のすべての花の花束のような人には似つかない。
刃物
僕らでも合法に持てるような刃物をその手に握っていた。
そう、ハサミ。鋏。はさみだ。
彼女はハサミを握っていたのだ。僕は思わず
「どこの戦の場の原っぱさんだよ」
と呟いてしまった。柄にもなく動揺してしまった。
しかし、情報を聞きださなければいけない。話しかけてみようと思い口を開きかけると、一つの可能性が頭をよぎる
刺される?
いやいやそんなことは無い。いきなり話しかけて刺されるなんてそんなの小説の世界、漫画の世界の話だ。ヤンデレ少女もビックリのグサリ具合ですね。
と無理やりその思考をかき消して話しかける。
「あのー、すいません。北条さん……ですか?」
恐る恐る声をかけると肩をびくっとさせたのが見て取れたが刺してくることも無くゆっくりとこちらを見た。
「はい。北条は私ですけど。あなた……方は?」
いつの間にか後ろにかくれるような形になっていた浅井さんに気付きにくかったのだろう。二人と気づくまでに時間がかかった。
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