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「で!それはいいから!お嬢になにをし――」
「あ、北条さん。それでは僕らはこの辺で。お互い頑張りましょうね」
渾身のセリフかぶせ。これってやられると意外と嫌ですよね。
「え、あ、はい!それではまた縁があったら会いましょう」
おしとやかな笑顔で見送ってくれた北条さん。その笑顔を見ると先ほどハサミを握ってたことを忘れさせてくれるようです。北条さんに背を向け校舎内へと戻るために歩き出す。
「ちょっと待て!俺の話は終わってないぞ!おいコラ!待て!」
と、校舎に入ろうとしたところで出ましたうるさい風魔君。彼の声は想像以上にうるさいです。追いかけてきたらやだなーと思っていると
「風魔。あんまり騒ぐと怒りますよ?あんまり人様に迷惑かけるようですと……お仕置き、しちゃいますからね?はい、一歩動くたびに傷が一つ増えますよーっと」
そんな悪魔のような天使の声が聞こえてきました。北条さんですね。できれば北条さんであってほしくなかったんだけどまあ、声で分かってしまうものなんですよねぇ。
気になって後ろを振り返る。北条さんは握ってたハサミに指をかけてクルクルと回していました。マジ怖い。
「うわっ!お、お嬢!お、落ち着いてください!分かりましたから!ハサミおろしてください!」
「分かればいいのですよ」
とまたも笑ってハサミを下げた。僕らが見てるのに気付くともう一度にっこりと笑った。僕は軽く会釈をして学校の中へと戻っていった
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