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「ぷっ、ぷっはっはっはっはっは」
といきなり笑い始めました。なにこの子怖い。竹中君はどうやら何かが原因でツボッてしまったようです。俺の顔がそんなに面白かったのかな……
とまぁ自虐は良いとして、僕にはなぜ彼がこんなにも笑っているのかが分からない。
「……あの、なに笑ってるの?」
と、聞いてみると彼は笑いながら僕に僕の財布を見せてきた。黒い地味な普通の長財布だ。
この場合おかしいのは
なぜ竹中君は僕の財布を持っているのか
ということで。普段はポケットにいれてるんだけど……まさか……
「スッたんですか……?」
あの肩がぶつかったときだろうか。なにしろ早すぎる。
僕が疑問をぶつけると今まで笑ってしかいなかった竹中君が口を開いた。
「いやだなぁー。スリなんてひどいよ真田くん。ちょっとした手品さ。てーじーな」
なるほど。竹中君が僕の財布を持っているのは、てじなーにゃって事なんですね。分かりませんし、分かりたくもありませんけど。とは言え確かにスリ犯として疑うより手品師と立てておく方が情報は聞きやすいかもしれない。
「すごいですね!手品なんですか?是非とも種を教えてくださいよ!そんなすごい手品僕もしてみたいです!」
とまぁ柄にもなくおだててみる。おだてたことなんかないから感覚でやってるだけだけども
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