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「え」
思わず声をあげた時はもう遅い。うえから下へ全力で駆け下りてきた子に勢いよくぶつかった。当たり所で相手が女子生徒であるとすぐに分かった。いや、別に悪気はなかったんだ、うん。
で、当たった後はと言いますとまあ、落ちました。ええ階段から。それはもう勢いよくボールが転がるかのように。僕のここまで走った苦労っていったい。
頭を打ち付け意識がもうろうとする。ああきっと気絶するんだろうね。
……おいちょっと待て。気絶だよな。これ死ぬとかじゃないよね。大丈夫だよね?
そんなことを思っていると階段から駆け降りてくる女子生徒。
「大丈夫ですか!?」
いや、この様子で大丈夫だったら僕はスーパーマンになれます。そんな突っ込みは心に秘めて――というか喋れないだけんだけど――いると女子生徒ある一言
「大変!頭から血が流れているわ!」
……死亡フラグとかじゃないよね。うん大丈夫。気を失うだけ。きっと保健室のベットで起きるんだ。そして死神のような先生がいるんだ。そんな狂った思考回路で考えているってことは本格的にやばいのかもしれない。意識が消える前に一言振り絞り僕は言った。
「お怪我はありませんか?おじょうさん」
ああ、セリフチョイスをミスった。狂った思考回路からはじき出されたベストアンサーは相当キザで変態なセリフを出してきた。打った頭が悪いんだ。打った頭が痛いんだ。僕は断じてイタくない。僕の意識はそこで完全に切れた。
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