執行部誕生編~生徒会への加入とその経緯についての考察~

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これがギャルゲーやライトノベルの類の話だったならきっと起きた時には膝枕されていたのだろう。しかしこれはギャルゲーでもラノベでもない。あるのは現実。所詮膝枕なんて高価な体験はこのさきずっとできないんだろう。 そして気がついたそこにはやはり膝枕でも何でもなくただ保健室の固いベットの上だった。 ああ、とりあえず死んではなかったみたいだ。頬をつねって確認する。うん、しっかり痛い。俺は体を起こすと保健室のいすに座る人影に気付く 「あ、気がつきましたか!」 ベットに乗りあがってくる女子生徒。もとい僕からすれば危うく殺されそうになった相手でもある。 「あ、いえ。まあ」 初対面の人と喋るのは苦手なんです。まして女の人相手だとなおさらなんです。てか何でこの人しかいないんだ。養護教諭はどこに行ったんだ……こんな重症を受けているのにスルーかよ。そうです、保健室で女子生徒と二人きりなんてそうないシチュレーションです。でも僕は残念ながら喋るのが苦手です。さてどうしよう。脳内会議が開始される。 さあここでまずこの子にどんな言葉を僕はかければいいんだろうか。 よくもぶつかったな!死にかけただろ!と怒鳴ってみようか。いや、そんな勇気は持ち合わせていない。危うく怪我するところだったんだゾ!と可愛く振る舞おうか……いや、論外。全然平気だから!安心して。うん。これがスタンダードだよな。 そんな僕の脳内議論のことを知ってか知らずか。僕が口を開こうとしたそれより早く彼女は先制攻撃を放った。
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