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そのあと僕が目を覚ましたのは午後も午後。すばらしきオアシスの時間放課後だった。時計の針は4時30分を指していた。
「ああ、僕は今日授業を受けずにずっと寝てたのか」
1日を無駄にしたのかそうかそうか。
「はあ、授業のぶん取り返さなきゃ」
「あのー」
高校の授業は1日スル―しただけで分かんなくなるから予習、復習は常にしとかないとね。
「今日の授業は何だっけ……」
「あのー?」
数学、物理……
「あの!」
「うぇっ!」
おっと気付かなかった。ベットのとなりに椅子を持ってきて座っている女子生徒――浅井市夜がいる。この学校の至福の時、放課後を削って僕のところに来ているということはかなり心配してくれてるみたいだ。それはそうとかなりマヌケな声をあげてしまった。それが一番恥ずかしい。
「あー、いやどうも。こんにちは」
「あ、こんにちは」
いろいろありすぎて何を話そうか……
僕が悩んでいると彼女は1人で話し始めた。
「あ、いやあの。ホントにごめんなさい。あの時は私……不注意で……気付かなくて……ホントごめんなさいっ!……ぐすぅっ……ごめんなさい」
「大丈夫です!もう平気です!僕アトムですから!鉄腕なんで強いっす!あのだからホント泣かないでください」
もう泣かせない。いや、もうほんとこれ以上泣かせてたまりますか。多少恥ずかしくても泣かせるよりはましだ。
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