出逢い

9/9
前へ
/19ページ
次へ
「あの……」 二回目の呼びかけにようやく答えた俺に対して彼女は、 「後ろ……通してもらえる?」 と少し申し訳なさそうな顔で話していた。 それもそのはず。一番後ろの通路というのは、かなり狭くなっているものだから。 俺の心臓はもうすごいことになっていたが、なんとかいすを引いて彼女を通れるだけのスペースをつくった。   「ありがとう」 若干照れながらお礼を言う彼女。 後ろを通ると、そのまま俺の左隣の席に座った。 その席にかけられたら名札には、しっかりと彼女の名前が書かれていた。 ────常盤桃夏
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加