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「あの……」
二回目の呼びかけにようやく答えた俺に対して彼女は、
「後ろ……通してもらえる?」
と少し申し訳なさそうな顔で話していた。
それもそのはず。一番後ろの通路というのは、かなり狭くなっているものだから。
俺の心臓はもうすごいことになっていたが、なんとかいすを引いて彼女を通れるだけのスペースをつくった。
「ありがとう」
若干照れながらお礼を言う彼女。
後ろを通ると、そのまま俺の左隣の席に座った。
その席にかけられたら名札には、しっかりと彼女の名前が書かれていた。
────常盤桃夏
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