プロローグ

2/6
前へ
/54ページ
次へ
俺は“才能”と言う二文字が嫌いだ。  人はこの才能という言葉に、人生を大きく左右させられる。  才能を持たない者が、才能を持つ者に追い付くには並大抵の努力ではまず不可能だ。  根本的にスタート地点が違うのだから、持たざる者はただひたすらに努力するしかない。 しかし、いつか返り咲くことを期待して人一倍頑張ったとしても、その努力が実を結ぶとは限らない。  多くの者はその努力の途中で挫折するだろう。  自分以上の才能を目の当たりにして挫折する者。  自身を取り巻く環境のせいにして努力を止めてしまう者。  または、最初から努力する事を放棄した者。  まるで運命のように、人生がほぼ決定付けられてしまう。  特にこの世界、精霊と人間が共存し合い、魔術文明が発達したこの世界においては尚の事。  魔術の才能が有るか無いかで、その者の人生は魔術師に成るか成らないかの二者択一だ。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加