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駐車場の車に向かいながら、瀬織は小声で、刃平の耳元に
「車に盗聴器とか細工されてる可能性もあるから、しばらく黙ってて。」
とささやいた。
だが、車に乗ってエンジンをかけた時点で、瀬織は
「大丈夫。怪しい電波は感じない。何か発信されてれば、電波を気として感じるから。」
と説明した。
刃平は、はぁっと息をついた。
車は走り出す。
瀬織が話しはじめた。
「予定外だったけど、あのケンカは結果オーライね。」
刃平はあまり耳に入っていない。瀬織の方を見ないようにしている。
瀬織は運転しながら話し続ける。
「あなたは対策委員に入れるはず。アタシの予想通りなら、多分。
情報を取りやすくなるよう、あの佐久原って子には悪いけどうまく利用させてもらう。」
刃平は、瀬織が自分を興奮状態にした理由がわかった。佐久原の印象をさらに良くするためだ。
しかし、ここでうっかり瀬織を見てしまった。目が離せなくなった。
それでなくとも色気が出過ぎている瀬織なので、刃平の心臓がバクバクして息が荒くなる。
もはや発情した犬のようだ。とにかく瀬織に飛び掛かりたい衝動を押さえ付ける。
瀬織はさらに話す。
「あと、これから…ん?」
瀬織は刃平の異常に気づいた。
「あ。こりゃいけない。忘れてた。」
ひょいと刃平の股間に手を乗せて気を若干吸い取った。刃平は
「ぁふ~」
と意味不明な声をあげて普通に戻った。
瀬織があはははと笑う。
「ゴメン。佐久原南奈とお近づきしてもらいたくて、発情させたままだったわ。」
「笑い事ぢゃないよ、人間やめますか状態だったんだから。」
「アタシという麻薬にハマルと、廃人になるって言ったのわかった?」
「気を注入するのは封印してよ。誰彼構わず襲いたくなる。」
「任務遂行中の行為は法に問われないから、女性襲っても社会的にバレなければOK。
ウチはホラ、非合法活動だから。」
「今は!姉さんに手を出しそうだったからマズイの!」
瀬織がうれしそうに、うふふふと笑った。
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