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「あのー、姉さん?
それ投げて校長の服に貼付けろと言ってる?」
「そうね。」
「無理。近づかないと。」
「それはばれるから、離れて後ろから。」
「物理的に無理。」
「じゃあアタシがやるか。
まあ今後、諜報活動もあるから参考にして。」
刃平はまだ何も知らないことを知った。
このサイズの盗聴器があることも驚いた。
瀬織はサングラスにマスクという怪しいスタイルで、コンビニで買い物をしてきた。
クルマに戻るとコーヒーの臭いが立ち込めた。
「はい。」
カップのコーヒーを刃平に差し出す。
「ありがとう。」
コーヒーを受け、飲みはじめた。
瀬織もコーヒーを飲みながら
「張り込みは退屈よね。」
と漏らす。
刃平は、この際に聞くことを考えたが、ありすぎて困った。
「姉さん、僕、考えたらこの数ヶ月、あまり勉強してないから、多分試験とかやったら、どえらい点数になりそう。」
「あーまあ、いいわ。適当にやれば。
魂仙手が身につけば、二ヶ月で大学生くらいまでの教養はすぐ取り戻せるから。
脳が活性化するからね。」
「あとお願いがひとつ。」
「わかってるわよ。次の夫人候補は今探してるから。」
「いやそーじゃなくて、カネがないの。」
「…は?」
「明日のデートの電車賃もない。」
「あらあら、忘れてた。
いくら欲しい?中学生の小遣いて普通いくらかしら。
月10万円くらい?」
刃平はぶったまげた。
さっき脳が活性化してるとか言う割にソレかよ!と突っ込みたいが我慢した。
「普通、いくらよくても5千円くらいじゃないかな。」
「あ、そう。じゃあ1万円からね。でも明日のデートのためには10万円渡しとくか。
使い切ってね。カネの使い方も覚えなきゃ。
アタシが管理してるあなたの稼ぎから出すんだから、気にしないで使いなさい。」
「え?僕に給料あったの?」
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