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「中学生とはいえ、仕事なんだから、もちろん。
芸能界だって子役にカネ払うでしょ。」
「いくら?」
「秘密。生活費はアタシのおごりだ。あなたが一人前になるまで貯金しといてあげる。」
「ヤルンダーJのスーパーグレードプラモデルが買えるかも…フルスクラッチも可能になるか?
いやいや実物大を数年かけて作れるかも…」
「あのね!明日、ドジコにおいしいもの食べさせて。」
「おいしいもの…ファミレスはあまりうまくないよな。」
刃平は、金額高めの外食といえばファミレスくらいしか知らない。
瀬織がビックリする番だった。
「あなたね…、店はアタシがドジコに指定しておくから、そこは任せなさい。
あなたは払えばいいの。」
「うおい~」
刃平はちょっとだけ情けなくなった。
ちょうど校長宅に動きがあった。
玄関から、校長が出て来た。すぐに校長は玄関横にあるセダンタイプのクルマに乗り込んだ。
刃平が
「盗聴器は無理じゃん?」
ともらした。
瀬織はエンジンをかける。
「しょうがないわねぇ。後をつけるわ。」
クルマを出した。
校長のクルマは予想通り、宗教法人統創価天会の駐車場に入った。駐車場の門に警備員が一人いて案内している。
瀬織は手前で止めた。
「刃平、警備員の注意を引いて。」
「イエス!ミス」
刃平はアニメ『ヤルンダーJ』で使われるセリフで返事して、クルマを飛び出す。
手に飲みかけのコーヒーカップをもって近づき、警備員の前で派手に転ぶ。
コーヒーを警備員にひっかけるつもりが、ちょっとだけしぶきがズボンの裾に付いた程度だ。
警備員が
「おわっ」
と声を上げる。
「いててー、ひねったあ~」わざとらしいと自分でも思いながら刃平は警備員の前で起き上がり、またしゃがんで足首をさすった。
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