4.盗聴

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『芸能界の大物がわがままでな、本部長は『恨混娘』で押している。』 『コンコンムスメ』ですか、いまひとつな気が。 それなら支部長の『グローバルムスメ エベルパン』のほうがいいですね。』 『まあ、そこはプロの意見を聞くとして、その姉弟のほう、頼むぞ。』 『お任せを。』 『この街を横浜の忠華街と並ぶエベルキン街にするのだ。 そのためにはここから、エベ流の風を起こし、エベルPOP旋風で日本人を骨抜きにして、発言力を上げて我々の持つ真実の歴史を叩きこんでやる。』 『日本人が悪魔の所業を古代から行ってきた劣等豚民族であるという真実の歴史を広くしらしめ、反省と謝罪と償いを、我等が統創天会で行わせる悲願は、もはや合言葉です。 では私は、このへんで。』 『うむ。』 刃平は気分が悪くなっていた。あまりにエベルキン人がどす黒いからである。 瀬織は顔を下に向けていたが顔を上げ 「やっぱり自殺が多いのはこいつらの仕業か!」 と、苦々しげに吐いた。 「姉さん、奴らを警察に…。」 「いや、ムダムダ。 悔しいけど、すでに日本の要所には奴らの仲間が巣くっているから、握り潰されて終わりよ。 アタシ達は警察ではないし。 奴らの計画とやらを掴んで、ねこそぎぶっ潰す。そのためにまずはこの街の乗っ取りを阻止するのが仕事。」 「くそっ、しかし、なんて連中だ。狂ってる。あんな妄言吐きやがって。」 刃平は、瀬織まで標的にされてることが実は腹立たしかった。 瀬織自身は、それは想定内であり、慣れているのでたいして気にしていない。 しかし刃平が何に怒っているかは理解したので、わざと笑い飛ばす。 「うふふ、このアタシを薬漬けで洗脳しようなんて、愚かね。 その気になれば薬なんて身体に入っても、気に分解してしまうわ。効きゃしない。」 「あ、食べ物と同じか。」 「奴らがアタシを直接どうこうするなんて、ダンゴ虫が象を倒すより難しいわよ。」 「姉さんはそうかも。 僕はオカマ掘られて焼肉になる可能性大。」 「大丈夫よ。私達の弱点はただ一点、精神的には人間の範疇てところ。 だからあなたもびくびくしない。負けるわよ。」
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