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瀬織は刃平の顔を見た。
刃平は口で言っている内容に反し、気後れした様子はない。
それを確認したので瀬織は次のハナシを切り出した。
「悪いんだけど…」
「わかってる。奴らの策にわざと、はまれってことでしょ?」
瀬織は刃平の頭をなでた。
「そう。」
「そういう役目だよね、俺って。」
「ちゃんと、バックアップつけるから。
ついでに学校行ったら、二人選ばれるというアイドルだか歌手だかも、どんな人だか耳にいれてきて。」
「ジイサンがバックアップなんでしょ?」
「学校内ではジイサンに、登下校はメガネをつける。」
刃平はジイサンは聞いたがメガネについては失念していた。
「えーと、メガネは…。」
「モヤシが副室長のイケメン中年で、その右腕がメガネ女史。30歳にはまだなってない。」
「顔知らないけど大丈夫?」
「向こうは知ってるから問題無し。」
盗聴器の音声で、校長がクルマに乗ったことがわかった。
「盗聴器は2時間で壊れるから、後をつけましょ。」
瀬織はクルマを発車した。校長のセダンを追う。もちろん2台ほど別のクルマをはさんで、すぐ後ろには、つけない。
刃平は
「盗聴器は回収しないでいいのかな?」
と聞いた。
「いいわ。2時間たてば自動的に回路は焼き切れるようになってる。仮に盗聴器が見つかっても相手はどうしようもない。」
「ハイテクだね。」
「昔のスパイ映画の真似なんだけどね。」
校長は自宅に戻った。
家に入る。
瀬織はまたコンビニの駐車場に入る。
盗聴器はまだ1時間以上稼動する。
校長は自宅では他愛のない話しを家族とするばかりで得るものはなかった。
1時間を過ぎて盗聴器の音声が切れた。
「家に盗聴器をつけるべきだわ。多分、目下のモノへの指示の類いは電話で済ますはず。もうしたかも。」
「つけるって、どうやって?」
「家が留守になれば忍び込む手もあるけど、ちょっと今は無理。昼間だし、家族がいるし、家の間取りも知らないし。」
「そうなると盗聴器もでかいから、さっきのようにはいかないか。」
「そうね。このまましばらく待ちましょう。」
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