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昼になり、刃平はコンビニで食料を買い込んだ。
弁当8個、缶コーヒー2本、2リットルペットボトルの茶、おでん、調理パン7個、フライドチキン5個だった。刃平の食べた弁当1個とフライドチキン1個、缶コーヒー1缶以外は瀬織の胃袋に文字通り消えた。
夕方、暗くなるころ、校長が出て来た。
ラフなジャケットに着替えており、携帯電話をかけながらクルマに乗った。
携帯電話を切ると、校長はクルマを出した。
瀬織は
「こんな時間からどこ行くってのよ。夜遊びはほどほどに。」
と愚痴りながら追跡を始めた。
校長が向かった先は、私鉄の駅に近い街中だった。
大きめのカバンを提げて小洒落たダイニングバーに入っていく。
瀬織は
「あちゃー!」
といいながらクルマを駅前駐車場に入れた。
刃平も気付いた。
二人が店に不用意に入り、校長と鉢合わせしたら終わりだ。場所が悪い。
瀬織は
「アタシが店の混み具合を店員に聞くフリして、覗いてみるわ。」
と言う。刃平が心配した。
「顔がばれないよう、サングラスにマスクして行くわけ?口裂け女スタイルで。」
「他のアイテムもあるわよ。」
瀬織はクルマの後部席のバッグから、牛乳瓶の底のような眼鏡と茶髪のカツラを出し、つけた。
刃平は首を横に振った。
「全然変わらない。
超美人丸だし。」
「えー?だめか。」
瀬織はカツラと眼鏡を外した。
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