4.盗聴

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刃平は、通りを歩いてくる一人の女性が目に入った。うつむき加減がまさに彼女だった。 「あ。あれ、百木先生じゃあないかな?」 瀬織も気付いた。 「そうみたいね。校長と待ち合わせか。落ち合う場所があの店なのね。多分。 よし、刃平も来て。」 瀬織はクルマを降りる。刃平も降り、早足で歩きだす。 二人は百木に近づいた。 百木が店のドアを開けようとした瞬間を狙って瀬織が声をかける。 「あら。百木先生!」 百木はビクッとして振り返り二人を見る。 バツの悪い表情を浮かべながらも 「ああ、あー山田さん、こんばんは。」 と挨拶した。瀬織はにこやかに店の看板を見上げる。 「この店でこれから一杯、やるんですね。」 「あ…えーまあそうなんです。」 「もしかして。デート?」 「いや、違います。」 「そう、それなら… ここ入ってみたかったんですよ。いっしょに一杯やりましょう。」 「え!あの」 「大丈夫、子供にはミルクでも飲ませときゃいいんです。さあさあ」 瀬織は強引に百木の背中を押して中に入った。 刃平は呆れながらついていった。
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