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中に入ると、カウンター席が6席、ボックス席が7つ、突き当たりの奥に個室が2部屋あり、入口の印象より広い。
瀬織は若い男性店員を捕まえ
「個室空いてない?」
と聞いてみる。
店員は
「左の部屋なら空いてますが…。」
そこで店員は百木のほうを見る。
「百木様でしたよね、先に谷井様は右の部屋でお待ちです。」
と馬鹿正直に教えてくれた。
瀬織は驚いたように百木の顔を見た。
「あらあら、百木先生~、ここじゃカオなんですねぇ。校長と待ち合わせですか。」
「あのまあ何か話しがあるとかで。」
瀬織は残念そうに
「そうでしたか。すみません。じゃあ私達は別の席で。それじゃ。」
と、頭を下げ、店員に
「左の個室にいれて。二人じゃダメかしら?未成年を連れてるからあまり人に見られたくないのよ。」
と頼む。
店員は
「大丈夫ですよ。」
と了承し、まず百木を右に案内し、瀬織達を左の部屋に案内した。
瀬織はすぐに
「生ビールとジンジャーエール。」
と注文した。
右に入った百木に谷井校長は
「おう、遅かったな。」
と声をかけるが、百木は人差し指を立て口に当て、話すな、のサインを送る。
校長の耳元で
「隣の部屋に山田さん姉弟がいます。入口で偶然会ってしまって…。」
と状況を話した。
校長は眉を険しくしたが、
「こっちに呼んでくれ。君に話したいことは後で話す。」
と百木に言う。
百木は左の部屋の瀬織達を呼びにいく。
しばらくすると瀬織がグラス片手に
「いやいやすみません、気を使って頂かなくてもいいのに…」
といいながらもズカズカ入り、ドッカと座った。
刃平も横に座る。
校長はニコニコして見せた。
「いや、百木にはたいした用事ではなかったので。いいんですよ。
恥ずかしながら、愚痴る相手がいないもので、たまに愚痴を聞いてもらうんです。」
百木は相変わらずうつむき、顔に表情がない。
刃平ですらその異常に気がつかざるを得ない。
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