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急ぎ足で刃平のいる方へ一人の少女がくる。
刃平よりちょっと背が高く、整った知性的な顔立ちをしている。
髪を後ろで三つ編みにしていることと、ブレザーの制服の見栄えのためもあるが、まじめそうな印象を受ける。
彼女は刃平をちらっと見ながら通り過ぎ、人の話し声のしたコンピューター室のドアに手をかけようとした。
その時ドアが内部から開けられた。
目が細く、エラの張った同じような顔の男子生徒3人と、いまどき珍しい黒ぶちメガネの大人しそうな男子が出てきた。
細目三人は、いかにもガラが良くない。
三つ編みの女子が、けたたましくまくし立て始めた。
「やっぱりここにいた!
あんたらここで何してたの?」
細目の三人がばつ悪そうに顔を見合わせた。
三つ編みは止まらない。
「ちょっと、メガネの君!
ニ年二組で見た顔ね。
何されたか正直に言いなさい!悪いようにはしないから。
あー、アタシは生徒会イジメ対策委員の佐久原南奈(サクハラナンナ)。」
刃平は、三つ編み女子のあまりの威勢の良さに、逆に心配になった。
ここまで高圧的に騒ぎ立てたらこの女子自体が狙われないかと危惧したのだ。
細目三人は早速反撃にでた。一番大柄な一人が三つ編みを、下から上までゆっくり睨みあげる。
「なんだあ?体制の手先がエラソーに、俺らが誰かわかってねぇみてぇだな?」
三つ編みはひるむどころか、一歩前に出た。
「あたしら対策委員に盾突くなら、学校にいられなくなるんだぞ?」
「はぁ?先生様がそう吹き込んだのか?」
三人はげらげら笑う。
三つ編みが鼻白んだ。
「なによ。何笑ってんの、ホントだぞ!」
「足りないなあこいつ、馬鹿か!この学校は金とコネで動いてんだよ~?
イジメに対策してますっていうふりをするために、対策委員なんての作ってんだ!」
「そんなわけないでしょ!
あんたら、報告にあげてやるから覚悟しなさい!」
「俺の話しを信じさせてやるから覚悟しなちゃ~い。
こんなことしても俺ら退学にはならないってことをな。おい。」
でかい細目があと二人に目配せした。
刃平はため息をついた。
(ドジコの予知したケンカって、ここから始まるんじゃないか?)
細目二人は黒ぶちメガネの男子を蹴飛ばした。
黒ぶちメガネは転ぶ。
細目三人は三つ編みをコンピューター室に押し込む。
「なにすんの…モガ」
コンピューター室のドアがバシンッと閉められた。
周りに数人生徒はいるが全員動く気配はない。
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