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校長は若干、むっとした。
自分が、この若い姉弟に、からかわれているとまではいかないが、軽んじられていると勘違いしたからだ。
この場合、日本人なら、事情があって家族の話しを避けている、と受け取るが、残念なことに、校長はエベルキン人の血が濃く流れている。
そのため、虚栄心が強く、尊大であり、自身を優秀な特別の民族と信じている。
さらに堪え性がなく、すぐに癇癪を起こし、他を恨み、羨む民族性質である。
よって、軽んじられることに被害妄想的に敏感であり、そう感じてしまった。そしてそれは、彼には堪えられない屈辱だ。。
校長はみるからに不機嫌になり
「百木くん、何か話したらどーなーんだね!」
と八つ当たりした。
自分の意図を読んでフォローして欲しかったからだ。
瀬織がコップ酒をスポーツドリンクのように飲み干し、タンッとコップを置いた。
「百木先生、いつもどんな校長の愚痴を聞いてるんですか?」
「あ、学校のこととか…」
「そういや校長、百木先生には心を開いてらっしゃるみたいですねー?いい仲?」
校長は赤い顔で
「いや、付き合いが長いだけで。」
とごまかす。
瀬織や刃平が期待するより、まだ酔いが足りない。
瀬織は少し揺さぶる内容をぶつける。
「あら、アタシはてっきりお二人は…
その校長の大きいカバンにはSMプレーの道具が入ってるのかと。」
校長と百木の顔色が明らかに変わった。
校長が
「こ、子供の前で感心しない話題ですにゃ!これは仕事の資料です。」
刃平が、ポロっと言う。
「ああ、金曜日には、百木先生の首の下にアザがありました。」
刃平はSMのなんたるかは知らないが、縛るイメージがあったので、口から出まかせを言ってみた。
校長と百木は顔を見合わせ、押し黙る。
瀬織は涼しい顔だ。
「あら図星。いいじゃないですかー、タクは子供ですが、普段から大人の話しで鍛えてますから。
SMは大人の優雅な遊びですよ。ねえ百木先生。」
「いえ、いいものではありません…」
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