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「エベルキンポップって、聞いたんですが、斬新ですよね。」
「あんにゃのニセモノねす!本物はこれぇからクルのだ!」
「あら、どこから?」
「なゃんとこの咲津から!」
「ええ~!」
「今にみねぇいろ、咲津中学と高等部からスターがでりゅんだぞ。」
「どうして~?校長がプロデュース?」
「そう、日本人に見せぇるのだ。そしてえ大人気にしてえ~エベルキンを身近にしてえ、エベルキンの優秀な遺伝子を日本女性にいれれ、いずれ混血がいっぱいでありまし!彼らぎゃ日本を浄化する英雄でありまし。」
「あらまあまあ、それじゃあ咲津は英雄の発祥地ですね。」
「咲ちゅは、エベ流文化の基地になりゅんだ。横浜には忠華街、咲津にはエベルキン街、日本にエベ流でエベルキン商店街をつくる、
2年で年末歌合戦に出場、
5年で日本文化はエベルキン文化と混ざり、実はすべてはエベルキン文化でありゅとしぇかい、世界に発信、
10年でここはエベルキンの属国て、いめーず、イメージを世界にゅ広めるゅにょでし。」
刃平はあらためて呆れた。
その計画があまりに現実離れしており、酔っているとはいえ、ぺらぺらと話しすぎるからだ。
だが、次の校長の言葉で、危機感に変わった。
「すでに教祖と総理の密約は交わされぇたからにゃ~。マスコミも押さえてありゅぞ。」
瀬織が校長に酒をつぎながら
「すごいわね、校長も密会に出たの?」
と尋ねる。
「いや、でも男・谷井は校長くらいぢゃ終わらにゃいぞ。おまえらついていくならこの谷井だじょ!」
瀬織は立ち上がると、校長の頭に手をかざした。
校長は、むにゃむにゃといいながらテーブルに突っ伏した。急につぶれてしまい、意識がなくなったのだ。
瀬織は刃平にウィンクした。
「こんなのに触ると、手が腐るからね。」
刃平は、瀬織が校長の気を抜いたのがわかった。
瀬織は抜いた気を傍らにある花瓶の一輪挿しに放出して吸わせる。花がみるみる枯れた。瀬織は
「ひどく邪悪な気だこと。」
とつぶやき、百木に向き直る。
「さて百木先生、あなた、校長に弱み握られてるとみたけど、どうなの?」
百木は目を大きくした。
こういうときの瀬織の威圧感はすごい。
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