5.エベ流文化の浸透計画

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「エベルキンポップって、聞いたんですが、斬新ですよね。」 「あんにゃのニセモノねす!本物はこれぇからクルのだ!」 「あら、どこから?」 「なゃんとこの咲津から!」 「ええ~!」 「今にみねぇいろ、咲津中学と高等部からスターがでりゅんだぞ。」 「どうして~?校長がプロデュース?」 「そう、日本人に見せぇるのだ。そしてえ大人気にしてえ~エベルキンを身近にしてえ、エベルキンの優秀な遺伝子を日本女性にいれれ、いずれ混血がいっぱいでありまし!彼らぎゃ日本を浄化する英雄でありまし。」 「あらまあまあ、それじゃあ咲津は英雄の発祥地ですね。」 「咲ちゅは、エベ流文化の基地になりゅんだ。横浜には忠華街、咲津にはエベルキン街、日本にエベ流でエベルキン商店街をつくる、 2年で年末歌合戦に出場、 5年で日本文化はエベルキン文化と混ざり、実はすべてはエベルキン文化でありゅとしぇかい、世界に発信、 10年でここはエベルキンの属国て、いめーず、イメージを世界にゅ広めるゅにょでし。」 刃平はあらためて呆れた。 その計画があまりに現実離れしており、酔っているとはいえ、ぺらぺらと話しすぎるからだ。 だが、次の校長の言葉で、危機感に変わった。 「すでに教祖と総理の密約は交わされぇたからにゃ~。マスコミも押さえてありゅぞ。」 瀬織が校長に酒をつぎながら 「すごいわね、校長も密会に出たの?」 と尋ねる。 「いや、でも男・谷井は校長くらいぢゃ終わらにゃいぞ。おまえらついていくならこの谷井だじょ!」 瀬織は立ち上がると、校長の頭に手をかざした。 校長は、むにゃむにゃといいながらテーブルに突っ伏した。急につぶれてしまい、意識がなくなったのだ。 瀬織は刃平にウィンクした。 「こんなのに触ると、手が腐るからね。」 刃平は、瀬織が校長の気を抜いたのがわかった。 瀬織は抜いた気を傍らにある花瓶の一輪挿しに放出して吸わせる。花がみるみる枯れた。瀬織は 「ひどく邪悪な気だこと。」 とつぶやき、百木に向き直る。 「さて百木先生、あなた、校長に弱み握られてるとみたけど、どうなの?」 百木は目を大きくした。 こういうときの瀬織の威圧感はすごい。
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