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刃平は校長室に戻されていた。
刃平が叩いた細目は、病院に連れていかれた。
たいした怪我はないが、軽い脳震盪と口内裂傷だった。
校長と百木先生、瀬織がいる。
百木が聞き集めた状況を校長に報告した。
校長は報告に
「うむ。」
とうなずき、山田シホこと瀬織に向き直る。
「転校早々、なかなか派手でしたね。
まずいことにあの三人の親御さんは黙っていないでしょう。
場合によっては訴えられるかもしれない。」
瀬織は涼しい顔で
「あら、それは困ったわねえ。」
と言う。
ここは学校側の対応を見定めるのが上策であり、困ってうろたえて見せたほうが、相手も悪乗りして尻尾を出す。
これは瀬織も刃平もわかっていた。
たから山田タクこと刃平は思った。
(姉さん、演技下手!)
校長は畳み掛けるように刃平に
「確かに彼らにも非があるが、人を呼ぶとか方法がなかったのかな?タクくん。」
とやんわり責めてきた。
百木が
「校長!元はと言えば、私が」
と言いかけたが、校長が睨むと、押し黙った。
見兼ねて刃平が発言しかけたとき、瀬織がそれを止めて自分が発言した。
「で、彼らはどんなご家庭のご子息なのでしょう?
訴えるとなると、普通のご家庭はかなり抵抗があるかと…。」
校長が好機と見て勢いづいた。
「タクくんに暴力を振るわれた子は県議会議員のご子息で、
あとの二人も警察関係者のご子息と、
さる宗派の咲津支部長で教育委員会にも参加されてる方のご子息なのだ。
当然、当校の教育にも大変力を入れて頂いている。」
瀬織は急に顔が深刻そうになる。
「なるほど。宗派ということは宗教ですか。宗教法人統創天会の支部がありましたね。この近くに。」
「うむ、よくご存知のようですね。」
「襲われた女の子は?」
「ああ、佐久原くんだったか?
どうだったかな…、まあ公務員かなにかの家だったかと。」
「いや、そうではなくて、今、どうしてるかお聞きしたかったのですが。」
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