1.私立中学潜入

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それは百木が答えた。 「保健室にいます。」 「そうですか。かわいそうに。」 校長はそのシリウマに乗る。 「そうですね。気の毒なことをしました。 しかし、見ていた生徒の話しでは、あの三人にえらい剣幕で突っ掛かっていたようだ。 かねてから対策委員には、詳細な報告だけを正確に上げるよう言っていたのですが、 自分が特権を持ったと勘違いして暴走したフシがありますな。」 刃平は怒りを覚え、口を出した。 「そういう指示だからこそ、彼女は事態を正確につかむため、食い下がっていたんです。 それがまずいことなんですか?」 校長はうっすらと笑う。 「いやいや、そうだね、彼女は真面目だったね、すぐに手を出すような短絡的な行動をしなかったしね。」 刃平はさすがに明確に怒った。 (こいつ!) 瀬織がポンと刃平の頭に手を置いた。 すうっと力が吸い取られ、刃平は全身が脱力感に包まれた。瀬織が刃平の高ぶる気を吸い取ったためだ。 瀬織が 「じゃあまあ、今日のところは…」 と、ハンドバッグから小切手を取り出し、サラサラと数字を書き、一枚切り取ると校長に差し出した。 「とりあえず引き上げますから。何かあれば携帯のほうに連絡ください。」 校長は小切手を見て、受け取ると、 「私にできる限り、子供達がいい方向にいくよう努力しましょう。」 と引き下がった。 刃平は理解した。 (要は金出せという脅しだったわけか!) 瀬織が立ち上がり、 「あ、保健室の女の子に会っていってもいいですか?」 と付け足した。 校長が 「構いませんよ。 また連絡します。」 とだけ言う。 刃平も立つ。 気を抜かれたため、ふらふらした。
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