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それは百木が答えた。
「保健室にいます。」
「そうですか。かわいそうに。」
校長はそのシリウマに乗る。
「そうですね。気の毒なことをしました。
しかし、見ていた生徒の話しでは、あの三人にえらい剣幕で突っ掛かっていたようだ。
かねてから対策委員には、詳細な報告だけを正確に上げるよう言っていたのですが、
自分が特権を持ったと勘違いして暴走したフシがありますな。」
刃平は怒りを覚え、口を出した。
「そういう指示だからこそ、彼女は事態を正確につかむため、食い下がっていたんです。
それがまずいことなんですか?」
校長はうっすらと笑う。
「いやいや、そうだね、彼女は真面目だったね、すぐに手を出すような短絡的な行動をしなかったしね。」
刃平はさすがに明確に怒った。
(こいつ!)
瀬織がポンと刃平の頭に手を置いた。
すうっと力が吸い取られ、刃平は全身が脱力感に包まれた。瀬織が刃平の高ぶる気を吸い取ったためだ。
瀬織が
「じゃあまあ、今日のところは…」
と、ハンドバッグから小切手を取り出し、サラサラと数字を書き、一枚切り取ると校長に差し出した。
「とりあえず引き上げますから。何かあれば携帯のほうに連絡ください。」
校長は小切手を見て、受け取ると、
「私にできる限り、子供達がいい方向にいくよう努力しましょう。」
と引き下がった。
刃平は理解した。
(要は金出せという脅しだったわけか!)
瀬織が立ち上がり、
「あ、保健室の女の子に会っていってもいいですか?」
と付け足した。
校長が
「構いませんよ。
また連絡します。」
とだけ言う。
刃平も立つ。
気を抜かれたため、ふらふらした。
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