序.

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 スカートからすらりと伸びる脚、膝下までの長さのスクールソックス。ブレザーからでも分かる、女性特有の色気のある体つき。 「やっぱりこの学校にして良かったー!」 「ちょ、お前煩い」  スパァン、と乾いた音と、後頭部に襲いかかる強い衝撃。  丹仁 憂羽(たんじ ゆう)は涙目になりながら振り返った。 「いってぇーな!いきなり何すんだよ、郁人!」  憂羽の背後に立っていたのは、宮間 郁人(みやま いくと)。憂羽の幼なじみである。 「お前がでっかい声出すから周りの視線が痛いんだよ馬鹿。俺が恥ずかしいわ」 「だってさ、だってさぁ、周りを見ろよ!レベルの高い女の子ばっかだぜ!?ここは制服も可愛いしさぁっ」 「はぁ…何でお前みたいな奴と同じ高校にしたんだろ…何か努力したのが馬鹿みてぇ…」  郁人が頭を抱えて溜め息を吐いた。  ここは、この地域では名を馳せている、所謂進学校だ。勿論、容易くは入学する事が出来ない。しかし、憂羽は人間としては残念な頭の作りをしているものの、勉学に関しては中学の頃から教師からも一目置かれていた程のものだった。尤も、本人に自覚は無いが。 「え?アレだろ?俺と同じ高校が良かったんだろ?郁人ってば可愛いんだからっ」 「お前一回死んだ方が良いぞ」 「えー?」  呆れ果てる郁人を余所に、憂羽は再び落ち着き無く辺りを見回した。  女子、女子、女子。  見渡す限り、可愛い女子しか居ない。否、可愛い女子しか目に入らない。 「やっぱ女の子は良いね、可愛いし、和むし」 「お前みたいな理由でここに入学した奴なんて居なさそうだけどなー」 「居るだろ絶対!つーか、郁人はずるいよ!モテるくせに淡白なんだもん。今まで何人の女の子をふってきたのさ」 「……そんなの数えてねーよ。ほら、授業始まるぞ」 「あ、待ってよー」  既に次の授業の道具を携えた郁人が教室を出て行く。憂羽も慌てて鞄ごと背負うと、郁人の後を追った。 .
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