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キーンコーンカーーンコーーーン。
高校のチャイムが響く。校門の前には、竹刀を持ったゴリゴリの体育教師が遅刻者を待ち構えていた。
そのことに気づかず、五郎は校門に飛び込もうとするが、
「はぁぁい、まちなさーーい♪」
「ゲッ!!ゴリ田先生!!」
巨大なゴリ田にひょいと持ち上げられる五郎。
「五郎ちゃんね♪遅刻常習犯だけど、あなたのサッカー部での活躍、ステキよ♪あとで体育倉庫に来ない??」
「ギェェェェエェェェェエエエエエ!!」
遅れてきた紘希は、五郎が地獄に陥っている状況に気づき、校門の反対側に向かった。
「今日はゴリ田かよ!ついてねえな!」
正直五郎には同情する紘希。しかし、彼には余裕が見てとれた。
学校の反対側に向かう紘希を、遠目から見つめる男がいた。追跡中のKは、どこに用意していたのか漆黒のオートバイに跨り、紘希を追った。
「そっちには校門はないハズ・・・」
学校をぐるっと一周するように紘希は道を曲がり、Kの視界から消える。すかさず追いかけ、同じ道を曲がるが、紘希の姿は視界には入ってこなかった。
「!?」
学校を囲む道はほぼ一本道。目を凝らすが、姿は見えない。高校の2メートルはある塀をよじ登ったとは考えにくい。
バイクを進めていくうちに、先ほどの校門まで戻っていた。
そこには体育教師にジョリジョリのヒゲを擦りつけられている五郎の姿のみ。紘希の姿はなかったが、すぐ見つけた。
校門から校舎奥に見える駐輪場に紘希が自転車を停めていたのだ。
「なるほど・・・。彼も選ばれし人間ということか」
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