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「真夏~、朝飯食ってからいかね?」
朝真夏が朝食のゼリーを買ったコンビニの前で車を止めて、日野がそんな声を上げる。
「え、いや……自分は食べてきましたが」
「そうなんだ、俺寝坊しちまったからまだなんだよな。何食ったの?」
「十秒チャージを」
「はぁ? そんなんでよく持つな。お前もなんか食えよ。日本人なら朝は米だ」
そろそろ九時に差しかかる。朝食にはやや遅く感じたが、そんな些細なことで逆らって先輩の機嫌を害してもなんのメリットもない。言われるままコンビニでおにぎりとお茶を買って、再び車に乗り込んだ。
それから買ったものを胃に納めながら件の駅に向かい、真夏と日野は手続きを済ませて防犯カメラをチェックした。
「この子が被害に遭った子ですね」
「あーあー。こんな短いスカート履いてたら、そりゃうっかり魔が差しちまうよなあ」
「ひ、日野先輩。そんなこと言って、誰かに聞かれたらどうするんですか」
丁度そんなときにバタンと扉が開いたもので、真夏は驚いて椅子から転げ落ちそうになってしまった。不謹慎なことを言ったのは日野の方であるのに、彼の方はけろりとした顔で駆けこんできた駅員を見ている。どうして自分が慌てなければいけないのかと気を取り直すが、駅員の慌てた様子を見て、またおろおろしてしまう真夏であった。
「どうかしましたか?」
多少お調子者の気があるとはいえ、そこはやはり経験で勝る日野が、落ちついた声で駅員に問いかける。その様子を見て、駅員からも慌てた様子はすぐに消えた。
「刑事さん、隣の駅で痴漢が捕まりました。すぐに向かってくれませんか」
思わぬ言葉に、真夏と日野は顔を見合わせた。
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